その1


 弘忍禅師の高弟であった神秀が、自らの修行の境地を次のように詠みました。

身はこれ菩提樹。心は明鏡台のごとし。
時々に勤めて払拭せよ(いつも磨いていなければならない)。
塵埃をして惹かしむることなかれ(チリやホコリにまみれさせないように)。

 これを見た、米つき係の慧能という弟子が、

菩提樹もと樹無し。明鏡もまた台にあらず。
本来無一物。いづれの処にか塵埃を惹かん。
(もともと何もないのに、どこにチリやホコリがつくのか。)と詠みました。
 


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